果樹

イラマ

イラマとは? — What is Ilama?

イラマ(学名:Annona macroprophyllata)は、熱帯アメリカ原産の果樹で、中米で広く栽培されています。バンレイシ科で、ピンクや白の果肉を持つ、芳香で甘い果実をつけます。

基本情報 — Botanical Profile

学名 Annona macrophyllata
和名 イラマ
科名 / 属名 バンレイシ科 / アノナ属
原産地 中米
樹高 約8m(環境により変動)
耐寒性 弱い(霜に非常に弱い)
収穫時期 地域により収穫時期が変動

果実の特徴 — Fruit Characteristics

  • サイズ:400gから800gの果実
  • 果皮:白色からピンク色、チェリモヤと同様に模様に多彩なバリエーションがある
  • 果肉:白色からピンク色、また濃い美味色になる個体もある
  • 種子:大きな黒から茶色の種子(非食用)

味と利用方法 — Culinary & Medicinal Uses

  • 甘く濃厚で、花のような香りがある
  • 果肉は白〜ピンク色で滑らか、チェリモヤよりやや濃い味わい。
  • 生食が基本だが、アイスクリームやスムージーにも利用される。
  • 果皮が厚く日持ちがよいため、熟果は贈答用や市場販売にも向く。

栽培のポイント

  • 日当たり:強すぎる直射日光には弱いが、明るい場所での栽培に向く
  • 水やり:湿度を保ちながら排水性の良い土壌
  • 肥料:果樹用有機肥料を定期施肥
  • 剪定:収穫後に樹形を整える軽剪定を

日本での栽培適地

沖縄や宮古島などの南西諸島が適しており、温室を活用すれば本州でも栽培にチャレンジ可能です。Annonaの中では耐寒性は弱く、霜にあたると枯れる。水はけの良い土が適している。

注目される健康効果(補足)

特に知られていません。

世界各地での呼び名

  • スペイン語:Zapote de las viejas(老婦人のサポテ)
  • 英語:Ilama(イラマ)
  • その他:地域により様々な名称

Annona属との比較

種類 特徴 味の傾向
Annona muricata 大型で酸味あり 甘酸っぱい
Annona cherimola 香り高く滑らか 甘みが強い
Annona squamosa 小型で分離しやすい果肉 非常に甘い

原産地の地図

ちょっとした豆知識

この果物は、スペイン人博物学者 フランシスコ・エルナンデス(F. Hernández) によって初めて記録され、当時 「Zapote de las viejas(老婦人のサポテ)」 と呼ばれていました。
この名前は、古代アステカで使われていたナワトル語の呼称に由来しますが、なぜそのように呼ばれたのかははっきりしていません。
一説には「年配の女性に好まれていたから」とも言われています。

イラマは中米南部が原産で、古くからこの地域には、近隣から持ち込まれたシュガーアップル(Annona squamosa)やサワーソップ(A. muricata)などの優れたアノナ類が存在していました。
日本でもアケビやハッサクのように、どちらかといえば年配の方に親しまれてきた果物がありますが、もし古代アステカでも同じような文化的傾向があったとしたら、とても興味深いことですね。

品種

米国に導入されたという記録があるエルサルバドルの品種’Imery’などがあります。詳細は不明の品種です。現在では各地の愛好家によって様々な品種が選抜されています。

写真ギャラリー

Annona muricata の果実 サワーソップの樹木