アケビ ‘初音’ — Akebia quinata ‘Hatsune’
分類:アケビ科(Lardizabalaceae)アケビ属(Akebia)
原産地:日本・中国・朝鮮半島(原種)
タイプ:落葉つる性木本
園芸品種:‘初音(はつね)’ は果皮が淡紫色で果実の大きな選抜系統
概要
アケビ(Akebia quinata)は日本の山野に自生する落葉つる植物で、秋に独特な果実をつけます。
品種‘初音(はつね)’は、その中でも果皮が明るく美しい淡紫色で、果実が大きく肉厚な優良選抜系統として知られます。
開裂した果実の白い果肉にはやさしい甘みがあり、山の果物として古くから親しまれています。
特徴
- 葉:掌状複葉で5枚の小葉を持つ。秋には淡黄色に色づく。
 - 花:春(4〜5月)に淡紫〜紅紫色の花を咲かせる。雌雄同株で、花は甘い香りを持つ。
 - 果実:長さ8〜12cm程度の長楕円形。熟すと果皮が自然に割れて白い果肉が見える。
 - 果肉:甘く、黒い種子を多数含む。生食可能。
 - 果皮:やや苦味があり、野菜として詰め物料理などに利用される。
 
栽培のポイント
- 温度:耐寒性が強く、北海道南部以南で露地栽培が可能。
 - 光:日向〜半日陰を好む。過湿を避け、風通しを良くする。
 - 土壌:肥沃で排水性の良い土壌を好む。
 - 水やり:乾燥に注意し、表土が乾いたら水を与える。
 - 肥料:冬〜早春に緩効性肥料を施す。
 - 剪定:開花後や冬に古いつるを整理。花芽は当年枝の基部に付くため、強剪定は避ける。
 - 病害虫:特に大きな問題はないが、ハダニやアブラムシに注意。
 
繁殖方法
挿木または実生で増やすことができます。
雌雄異株性があり、結実のためには異なる株を近くに植えると確実です。
利用・文化
アケビは古くから日本の山里で食用・観賞用に親しまれてきました。
果肉は生食、果皮は味噌炒めや肉詰めなどの郷土料理に利用されます。
また、つるは籠編みなどの工芸素材としても重宝されています。
‘初音’は観賞用としても優れ、果実の色と形が美しいため庭園にも人気があります。
分布・生育地
日本では本州・四国・九州の山野に広く分布。林縁や雑木林の中に自生します。
中国中部や朝鮮半島南部にも分布が見られます。
Distribution Map
▲ Natural distribution of Akebia quinata: Japan, Korea, and Central China
Representative regions:
Yamagata /
Nagano /
Zhejiang (China)
備考・トリビア
アケビの花言葉は「才能」「唯一の恋」。
果皮の開いた姿が「心を開く」という意味にもたとえられ、古くから文学や詩にも登場します。
‘初音’は果実が大きく均整が取れ、実割れの美しさから観賞用としても評価が高い品種です。
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